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2026/08/24 07:43
今回ご紹介するのは、フランス・ガスコーニュの名門アルマニャック生産者、Récapet(レカペ)。
ワインの世界で名高いリュルトン家が生み出すアルニャックは、世界中のアルマニャック愛好家たちを虜にしています。
Récapetが160年以上前に始まったある一族の物語を受け継ぎながら生み出す、アルマニャックのラインナップをご紹介しましょう。

蒸留所を手放してでも、シャトーを選んだ男

Récapetの物語は1858年、Léonce Récapet(レオンス・レカペ)の誕生に始まります。
ジロンド県ブランヌで一族の蒸留所を経営し、意欲的に事業を発展させ、近代化を進めた同氏。1897年、ヨーロッパ中のブドウ畑を壊滅させたフィロキセラ禍の真っ只中、レオンスは大胆な決断を下します。
蒸留所を売却し、その資金でアントル・ドゥー・メールの中心地、グレジヤックにあるシャトー・ボネを取得。ヴィジョナリー(=先見の明がある人、将来を見通す力を持つ人)だった同氏は、当時最先端だった栽培・醸造技術を次々と試し続けました。
レオンスには、若くして亡くなったマリー、1918年にヴェルダンの戦いで命を落としたアンドレ、そして一族最後の相続人となったドゥニーズという三人の子どもがいました。
ドゥニーズはのちに、フランソワ・リュルトンの祖父にあたる人物と結婚。
レカペの血脈はリュルトン家へと受け継がれていきます。
世界を旅したワイン造り手が、原点回帰で見つけた土地
ボルドー生まれのフランソワ・リュルトン。
父アンドレ・リュルトンとともにアントル・ドゥー・メールやペサック・レオニャンで最初のワインを手がけ、その後は世界中を旅しながら他の生産者への助言を通じて経験を重ねてきました。
テロワールに心を奪われ、自らのヴィンヤードを次々と構えていった結果、現在ではチリ、アルゼンチン、スペイン、そして南仏という4カ国で30年以上にわたりワインを造り続けています。

同氏のパートナーであるサビーヌ・リュルトンは、スペインとフランスにルーツを持ち、バルセロナ、アンダルシア、バスク地方を行き来しながら育った生粋のエピキュリアン。
ワイン業界の出身ではないものの、スペインの象徴的な飲み物であるジンをはじめ、香りへの確かな審美眼を持つ人物でもあります。
そんな二人が2021年、ガスコーニュ地方カゾーボンの村にあるドメーヌ・ド・タルグリーを取得。フランソワにとっては1997年からワイン造りを続けてきた、馴染み深い土地でした。
全55haのうち15haはすでに2008年から有機栽培。
ワイン造りで培ってきた「品種とテロワールを尊重する」という哲学を、そのままアルマニャック造りにも注ぎ込むことになります。
ガスコーニュの空気をボトルに閉じ込める
アルマニャックは、フランスに現存する最古のスピリッツ。
その記録は13世紀にまで遡り、1310年には修道院長ヴィタル・デュフールがその効能を讃えたと伝わり、長らく「不老長寿の妙薬」として珍重されてきました。
なかでもレカペが拠点を置くバ・アルマニャック地区は、全生産量の57%を占める、伝統的に最良とされる産地で、砂質・シルト質の土壌が、プラムを思わせる華やかな果実香を育みます。
レカペの自社畑55ha(うち7haをアルマニャック用に)はすべて有機栽培。小型の単式蒸留機を使い、キャラメルや砂糖は一切添加しません。
熟成には再生されたフレンチオーク樽を使用。そして何より、コニャックの多くがブレンドを前提に造られるのに対し、レカペでは品種ごとに個別に仕込み、蒸留することで、それぞれの個性をそのまま瓶に閉じ込めています。
一族の哲学が生んだ、多彩なラインナップ
Blanche Armagnac(ブランシュ・アルマニャック)

バコ50%・ユニ・ブラン50%|樽熟成なし|アルコール度数42.5%
洋梨やミント、シトラスの香りに始まり、口に含むとイエローフルーツとアーモンドの余韻が広がります。オンザロックやカクテルのベースとして人気が高く、2026年 International Bartender Spirits
Awardsでは92ポイントを獲得しました。
Ugni Blanc(ユニ・ブラン)

単一品種|フレンチオーク樽で5年以上熟成
アルマニャックで最も広く栽培される、いわば王道の品種。黄桃やたばこ、プルーンを思わせる香りに、まろやかで丸みのある味わいが続きます。フルーティで華やかな飲み口は、アルマニャックの入り口として最適。白身魚の刺身や天ぷら、塩焼きの焼き鳥との相性も抜群です。
Colombard(コロンバール)

単一品種|フレンチオーク樽で5年以上熟成
単一品種としては非常に珍しいコロンバール。シトラスと白胡椒の香りに、ややワイルドな骨格と長い余韻が特徴です。フルーティでスパイシー、そして生き生きとした酸が印象的な、通好みの一本。しいたけと鶏肉の炊き合わせや鰻の蒲焼、柚子タルトなどと合わせたい味わいです。
Baco VSOP(バコ)

単一品種|フレンチオーク樽で5年以上熟成
アルマニャックを象徴する品種、バコ。スペキュロスクッキーや桃、塩キャラメル、ミラベルプラムを思わせる香りが特徴で、リッチで満足感のある味わいに仕上がっています。鴨肉や豚の角煮、熟成コンテチーズ、あるいはエスプレッソマティーニ風のカクテルにもよく合います。
VSOP Domaine Targuerie(ドメーヌ・ド・タルグリー)

バコの2ヴィンテージ・ブレンド|フレンチオーク樽で7〜9年熟成|アルコール度数42.5%
シグネチャー・キュヴェ。アプリコットやバーボンバニラ、キャラメル、ドライフルーツの香りに、ベルベットのようになめらかな口当たりとプラム・スパイスの長い余韻が続きます。San Francisco World Spirits Competitionでダブルゴールドとゴールドをダブル受賞した実力派。鴨肉や焼き鳥、味噌漬けの豚肉、栗やキャラメルを使ったデザートとどうぞ。
Récapet Collection – Vintage Cask Strength(50cl)

14〜25年熟成|アルコール度数48〜52%|無濾過・無加水|各ヴィンテージ650本限定
フォル・ブランシュ100%、あるいはユニ・ブランとバコのブレンドで仕立てられた限定コレクション。カスクストレングスのまま瓶詰めされた複雑で力強い味わいは、真の愛好家のための一本。葉巻やチョコレートデザートとともに、じっくりと味わいたいアルマニャックです。
まだ続いている、家族の物語
1858年に始まったレオンス・レカペの挑戦。
フィロキセラという未曾有の危機のなかで下された一つの決断から、160年以上の時を経て、ガスコーニュの大地でふたたび形になりました。
フランソワとサビーヌが仕上げる一杯には、世界を旅したワイン造りの経験と、一族が守り続けてきた「テロワールへの敬意」が静かに息づいています。
